終の時に見る夢は CM

「山崎さん、単刀直入に言います。膵臓癌(すいぞうがん)で残念ながら手の施しようがないのが現状でして余命6カ月です」

 目の前にいる真宮寺という下髭をたくわえた少し恰幅(かっぷく)の良い、いかにも人の好さそうな医師が、私を申し訳なそうな表情で私を見据え、頭を右手でかきむしりながら告げた。彼との付き合いはかれこれ10年くらいにはなるだろうか。

「山崎さん、だいじょうぶですか。山崎さん」

 私は彼の言葉で我に返り彼を見据え、「大丈夫です」と答えていた。が、心中穏やかではない。

「では山崎さんはどうしますか」

「どうしますかって、なにをですか」

「ここで治療しますか。それとも故郷の川北で治療しますか。川北なら知人が居りますので紹介できますが」

 付き合いが長いから何でもお見通しってやつである。

「では、川北でお願いします」

 とは、いった所で住む場所をどうしようか。

「解りました。では早川病院を紹介しますので訪ねて見て下さい。多分、住む所も何とかなると思いますし」

「正直、それは助かります。今住む所考えてた所でして」

渡りに船といった感じだ.

「では山崎さん、お元気で。また」

「こちらこそありがとうございました。何から何まで。それでは、また」

 私はそう言うと一抹(いちまつ)の寂しさを胸に深々と頭を下げ、彼とのお別れを済ませ診察室を後にする。

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